FUJIYAMAで勝つために必要な技術

1 月 18th, 2009 | By tora | Category: FUJIYAMAコラム

FUJIYAMAで使うショットのほぼ全てにおいて、高度な技術が必要になる。
それはナインボールやエイトボールとは違う系統の技術であり、
同じ系統の技術が必要な競技はワンポケットである、と言われることが多い。

他の競技に例の少ない技術の代表的なものが多クッションバンクショットである。
2クッションバンクショット(以下ダブルという)や3クッションバンクショット(以下トリプルという)などの種類があり、
その難易度をゴルフで分かりやすくいえば、グリーン外10~20ヤードからのチップインといったところだろうか。
要するにアマチュアでは狙って成功することが難しい状況である。

穴に寄せることだけなら熟練したFUJIYAMAプレイヤーは当然習得しているが、
プロプレイヤーでは10~20%程度の成功率で直接入れてくる。しかし中には単に成功率だけでいえば50%以上を誇る達人もいる。

しかも驚異的なのは、そのダブルやトリプルが外れても必ずポケットから30センチメートルも離れない位置で止まるという絶妙な力加減で行われている事である。
的球の転がるスピードを調節することは、ダブルやトリプルの難易度を急激に跳ね上げる。
クッションは球がぶつかるスピードによって跳ね返る角度を変えてしまうからである。
そこに加えて手球と的球、または的球とクッションがぶつかる時の摩擦力、それによる回転の変化までも計算にいれて、繊細な調節をしていく。
さらにその上、手球の配置までもがコントロールされ、敵が攻撃しにくく、自分が攻撃しやすい場所に動いてゆくのである。

このように計算されつくしたショットによって、的球がゆっくりゆっくり進み、沸き上がる歓声の中、今にも止まりそうなスピードでポケットに消えていく光景は、まるで映画のラストシーンのように官能的である。

ビリヤードを全く知らぬ者でもこの光景はぐっと込み上げる感情があるが、
そのショットの本当の狙いを手球や戦略も含めて深く読めるようになったときには、さらに複雑な感情を抱くことになる。

それは、果たして人間に制御可能なショットかと、疑わしく思えるほどの驚きと、
全ての球たちが意思を持った生き物のように在るべき場所へと動いていく感動と、
それらに命を吹き込んだテーブルの支配者への憧れなどが入り交じっている。

それは観るものに神々しさすら感じさせる。

つまりFUJIYAMAに必要な技術とは、
テーブル上の球について、想像可能な全ての動きを実現する技術であり、
この理想は神に近づくが如き高みに存在するのである。

文責:ProjectFUJIYAMA実行委員会

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